東海中学入試問題 傾向対策【国語・評論編 1】

投稿日: カテゴリー: 東海中学受験
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今回は、東海中学入試問題(国語)の傾向分析をお送りします。

当塾は中学入試対策の指導は行っていないのですが。
晴れて東海に合格した暁には、ぜひともうちの塾で国語の勉強をしてほしい!
…ということで、どこよりも詳細で役に立つ傾向分析をアップいたします。

 

まずは評論(説明文)の傾向と、その対策から。

過去問を12年分解いてみたのですが、毎年大体共通しているなあと思われる点が二つありました。
(※漢字の書き取りが6問ずつとか、語句問題は身体の一部を使った慣用句の出題が多いとか、そういう表面的な傾向は誰が見ても分かることなので、省きます)

もっとも配点が大きいと思われる、四十字とか五十字とか八十字の記述問題。
これは毎年出題されているのですが、傾向としてはっきりしているのは

「抽象的内容を具体化する」…もうちょっと言えば、「社会的な、大きな問題を身近な事柄に引きつけて考え、文章化する」という出題が非常に多い(=毎年出る)ということです。

29年度の問題を見てみますと。
ルールリテラシーについての文章を読ませた後で、

「あなたの身近で『ペナルティによる誘導』が実際に用いられている例をあげ、それがうまく機能しているかどうかを八十字以内で書きなさい」

…という、「身近な例問題」が出題されています。

 

厳しいです。

「ルールリテラシー」というタイトルからして、大人でもちょっと怯みます。
リテラシーってなんだよ…と言いたくなる。

ルールとは内側からの統制であり、ペナルティによる誘導は外からの統制であり云々カンヌン…みたいな文章を読んだ後で、選択や抜き出し問題を解き、さらに八十字の記述です。
そりゃ厳しいです。

文章内容が十分理解できていたとしても、それに当てはまる「身近な例」が思いつかなかったら一発アウトです。これは厳しい。
で、「身近な例」をひねり出す際、時間をかけていられないという点も厳しいです。何しろ60分で文章二つ読んで長めの記述を2題以上解き、抜き出しも選択も正確にこなさねばなりません。じっくりと「身近な例」を考えているヒマはありません。

 

29年度について言えば、本文中に一つ具体例が挙げてあります。

 

・ルール…遅刻をしてはいけない
・ペナルティによる誘導…遅刻をした者は罰として◯◯(掃除とか)してもらう

 

まあ、大人なら類似例はいくつか思いつくでしょう。

宿題はしなくてはならない、宿題サボったら罰としてオヤツ抜き、でもオヤツとか別にこっそり買って食ってるしペナルティとしては機能してねーよ普通にサボるっしょ。(77字)

…ぐらいなことは、瞬時に書けるかもしれません。

しかし、これを入試で、限られた時間内で、緊張状態の中で、大人に比べて圧倒的に具体的体験に乏しい小学六年生に、果たして思いつけるのか。

 

これは多分、普段から「抽象→具体」という変換作業に慣れていないと、とっさには思いつけないのではないかと思います。

 

ここで対策としては、本人がマメに具体化作業を行っていく、もしくは周囲の大人が具体化を促す…ということに尽きると思われます。

「美しい日本語」なんてフレーズがテレビで飛び出した瞬間、

 

「例えば?」

 

…と問いかけるわけですね。
美しい日本語とは、具体的にはどんな言葉なのか。

ごめんあそばせ?
大変美味しゅうございますね?
お大事に…??

 

これを、頻繁にやる。
「具体的には?」「自分だったら?」という視点を常に持つよう、周囲の大人から働きかけてあげるのが、一番手っ取り早いかもしれません。

もちろん、この作業を行うには「抽象」と「具体」が明確に区別できていなければなりません。

しかし、意外とできていない…というか、「抽象とは何か、具体とは何か、違いを説明せよ」と問うと、正確に答えられない人が多いです。

よくある誤答としては、「抽象→なんか難しくてぼんやりしている、具体→わかりやすくてはっきりしている」という、感覚的なつかみ方です。

 

間違っています。

 

まずは「具体」「抽象」の正しい語義を押さえ、変換作業を習慣化すること。
これで、記述問題はかなり楽になるはずです。
また、文章読解的にも楽になります。

東海の評論入試問題を12年分読んでいると、「評論読解の基礎である、具体・抽象の読み分けがきちんとできる人を評価しているなあ。で、抽象的な問題を『難しい、わかんない』と突っ放さず、我が事として考えられる人を求めているんだなあ」と感じます。

それぐらい、結構しつこく「身近な例で考えよ」と問いかけています。

 

実は、東海中学入試評論分にはもう一つの傾向があるのですが、長くなってしまったので本日はここまで。

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